固定観念デストロイヤー: 「我慢は立派・我慢は美徳」

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「むかーしむかし、あるところのシンデレラは義理の母と姉たちにいじめられる日々をひたすら我慢していたらある日、魔法使いがいい感じの出会いをセッティングしてくれて玉の輿に乗れましたとさ。」

みなさん騙されないでください。あくまでこれは、シンデレラの妄想劇場です。しかもシンデレラは「絶世の美女」という特殊な条件付きです。我慢していればいつかいい感じになるなんてことはありません。

「我慢」は、現代では「辛いことを耐え忍ぶこと」という意味で使われています。

日本では、したいことを我慢できる子供は褒められ、会社に不当に扱われても我慢できる社員がかわいがられます。日本の文化では我慢は立派・美徳だと考えられています。

でも多くの場合、我慢をして得をするのはあなたではなく、あなた以外の誰かなのです。周りが「我慢は美徳」と言っているからといって、鵜呑みにするのは危険です。

今回は、我慢をして損ばかりする人生を回避するために、「我慢はいいこと」というその固定観念をデストロイさせていただきます。

1. 意味のある我慢と意味のない我慢

“Patience is a virtue” ということわざは世界で広く使われています。この慣用句は、以下の3つの日本語に直訳できます。

  • ・「忍耐は美徳」
  • ・「根気は美徳」
  • ・「辛抱強さは美徳」

我慢ができる忍耐力や辛抱強さがなぜ多くの文化で大事なものとされているのかというと、それはもちろん、人々がなんでもかんでもすぐ腹を立てて争いごとを起こしたりしなければ、平和を保つことができるからです。

日本は特に和を重んじる文化ですよね。学校教育ではみんなで一緒に掃除をしたり、みんなでマラソンをしたりします。

社会に出た後も、みんなで一緒に飲みに行ったり、(やっている会社はだいぶ減ってきてはいますが)一日のはじめに全体朝礼をする会社もあります。

いつもいつも、みんながみんな一緒に同じ行動をしたいわけではありません。団体行動には必ず、本当はイヤだけど我慢してみんなに合わせている人がいます。団体行動を成功させるためには、我慢が必要なことがあります。

じゃあなぜそんなに団体行動をさせるのかと言うと、一人の人間がやるより、大勢で取り組んだ方が良い結果に繋がると考えられているからです。

でも、気をつけましょう。意味のある我慢と意味のない我慢を混同すると、ヒドイ目にあいます。




1-1. 意味のある我慢

お互いの短所に腹を立てずに我慢することによって協力関係を保ち、お互いの長所を持ち寄ることができれば大事を成すことができます。

たとえば学園祭などの準備で最初は男子がやる気なさそうにしているのに女子が我慢できずに腹を立て、男女が協力しなかったとしたら、大変な力仕事を全て女子だけでやらなければならなくなります。

また、男子も、早く家に帰ってゲームを遊びたい気持ちを我慢して学園祭の準備に協力しなければ、女子と親しくなる絶好のチャンスを逃してしまうのです。

こうした、目的達成のための我慢は意味があり、まさしく美徳です。

1-2. 意味のない我慢

言い換えると、目的達成のために行う我慢以外は、意味のない我慢です。

たとえば、いじめにあっているのに我慢することや、いじめにあっている子供に親が我慢するように言うこと。もしくは、死ぬほど働いて会社に貢献しているのに会社が給料を上げてくれない時。

事態が改善する見込みがないのに我慢し続けるのは、いじめっ子が突然転校したり、会社の経営方針が突然180度変わったりするのを期待して待つという、いわば現実逃避です。「夢であるなら覚めてくれー!」と願っているのと同じですから。

基本的に、この世界では脈略のないことは起きません。状況を変えるための働きかけを誰かがしない限り、悪い状況が変わることはありません。

では誰が行動を起こすべきなのでしょう?自分のことですから、自分で行動を起こすべきですよね。

トイレに行かないと確実にヤバイ状況で、ワタシたちは他人にピンチに気づいてもらうのを待つでしょうか?トイレが自分の元に来てくれることを期待するでしょうか?しませんよね。自分でトイレを探して駆け込むのです。

それと同じで、自分が困る状況に陥ったら、誰かが助けてくれるのを待つのではなく、自分で状況を変える方法を探ったり、積極的に助けを求めたりするべきです。

「奇跡が起きて状況が変わるのをただ待つ」というのは、意味のない我慢です。

2. 我慢せずに「逃げる」ことの大切さ

「苦難に耐え忍ぶ」ことがかっこいい・立派だと考えられているのはもちろん日本だけではありません。でも、人によっては「逃げる」ことに極端にネガティブなイメージを持っているのでは、と思う時があります。ワタシ自身も以前はそうでした。

いじめを受け続けたり学業や仕事が大変過ぎたりといった理由で、もう耐えられない状況に陥った時、自殺を選ぶ人はどこの国にも一定数います。

転校する、学校を辞める、転職する、会社を辞める、違う国に移り住む、違う国で働くなど、死ぬ以外に色々な選択肢があるはずなのに。

つらい環境から逃げずにただ我慢し続けて、我慢の限界が来たら死を選ぶ。賢明な判断であるとはとても思えません。

2-1. 戦略的撤退

「戦略的撤退」という言葉があります。なんか負けを認めたくないから強がっているように聞こえなくもありませんね。

でも実は、昔から「逃げる」とは負けを認める行為ではなく、負けを認めない行為なのです。

戦争では負け = 死 ですから、逃げずに戦うことこそ死と負けを認めることを意味しました。

逆に、戦いを放棄して逃げるのは、生き残って力をまた蓄えてから、将来再び勝負を仕掛けるつもりであることを意味しました。

学校で暴力を振るわれたら、暴力を持ってボッコボコに仕返しするのも勝利の形かもしれません。陰湿ないじめを受けたら、さらなる陰湿さを持ってドッロドロに心をえぐり返すのも勝利の形かもしれません。

でもそういったいじめの被害にあう子供はたいてい、直接仕返しする力や知恵がないはずです。だとしたら、いじめっ子に反撃を仕掛けるのは、今ではないはずです。そして勝てる見込みがないのに我慢してその場にとどまるのは、体、もしくは心の死を待つという愚行です。

シャチとペンギンがなぜか同じ水槽に入ってしまったとしましょう。ペンギンを生き長らえさせたいなら、その水槽から一刻も早く出してあげて、違う水槽に入れてあげるべきですよね。我慢してそのままシャチと共同生活してもらっても、生存確率は低いです。

学校も、親も、いじめられる本人も、めんどくさがったり、変な意地を張ったり、周りの目を気にしたりしないで、転校するなり、いじめっ子を退学にするなり、状況を変える行動を速やかに起こすべきです。

それがたとえ周りに「逃げた」と捉えられたとしても、学校という狭い世界ではなく、人生というずっと広くて意義のある世界で最後に勝利すればいい話です。人生で成功を収めたり、幸せをつかめばいいのです。

そのためには、今死んではいけませんし、心が折れてもいけません。戦略的撤退をお勧めします。

“我慢をしない・させない学校”

ワタシが小中高を過ごした学校はインターナショナルスクールというところで、様々な国籍の生徒が一緒に学んでいました。学校が目指す教育は、「和」ではなく、「成長」でした。

だから、他の生徒の成長の妨げになるような問題児は徹底的に排除されました。いじめっ子は3ストライクした時点で問答無用で退学にさせられていました。父兄にも有無を言わせませんでした。ワタシが中学を卒業する頃には、いじめっ子や問題児と呼べるような生徒は一人もいませんでした。

もちろん、子供が問題児になるのにはワケがあります。親に愛されていることを十分に感じていないことが原因であることが多いようです。そして、その親も、社会の中で何かがうまくいかず、子供に愛を注ぐ余裕がない時があります。いじめっ子がいじめっ子になる原因は、完全に本人のせいであるとは言えないでしょう。

でもだからって、いじめられる子供がいじめに対して我慢しなければいけない理由はありません。他人の怒りやむなしさのはけ口にされる理由はありません。ワタシは、いじめられっ子に「意味のない我慢」をさせない方針の学校に信頼を寄せました。

つらい状況にある本人が「意味のない我慢」をしないことも大事ですが、まだ判断力の乏しい子供に「意味のない我慢」をさせない社会も必要では、と感じます。

2-2. 二種類の「逃げ」

学校の話題を離れて、社会人の我慢に目を向けてみましょう。子供と大きく違う点は、自分の意思で逃げることもできるということです。

自分がどうするべきか自分でしっかり考えて、きちんと行動に移す必要があるという意味で、子供とは違ったつらさがあります。

会社という組織で働く社会人がほぼ必ず直面する「この会社では100%幸せではないけど、我慢してここで働き続けるべきか」という悩みについて考えてみましょう。

社会人は、大きく分けて以下の二つの考え方の間で揺らぎます:

  1. たとえ今いる会社が最高の職場でなくても、仲間を見捨てずに耐え忍ぶ、「組織の安定のための我慢」を良しとする日本的な考え方
  2. 組織のために自分の幸せを犠牲にするべきではないとする欧米的な考え方

どちらが正しいということではなく、どちらも同等に考慮するべき考え方です。なぜなら、どちらも「逃げ」であるからです。

「上手くいっていなくても、会社や国がなんとかしてくれる。だからそれまでつらい状況を我慢しよう。」

これは、会社を信頼して給料が上がらなかったり労働時間が長かったりといったことを我慢しようという意思表示である反面、自分でなんとかしよう、自分はこうするべきだと思う、などと考えることを放棄する「逃げ」です。自分で自分がどうするべきか考えるのは、けっこうしんどいものです。そこからの「逃げ」なのです。

一方、「会社に自分の身の安全を任せていられない。会社での仕事が危うくなったら、転職を視野に入れたり、新しい専門知識を得たりといった他の可能性を考えるべきだ」などと思うのは、自分の将来のことを考える苦痛に我慢するかわりに、居心地や景気の悪い会社を捨てる「逃げ」です。

業績の悪い会社に残るという「自分のことを考える苦痛からの逃げ」も、会社を去るという「身体的苦痛からの逃げ」も、どちらにせよ「逃げ」であり、決して悪いことではないのです。逃げるということは「生きよう」とすることですから。

会社に残るにせよ転職するにせよ、状況の改善が見込めない場合は、我慢するのではなく、潔く逃げることも立派な判断です。




2-3. 「逃げるのはカッコ悪い」は思い込み

どんな判断をしても結局何かから逃げていることになり、同時に何かを我慢していることになるので、逃げることを恥じる必要はありません。

でもそもそも、なぜワタシたちは「逃げる」ことに対してネガティブなイメージを持ち、「我慢」することにポジティブなイメージを持っているのでしょうか?

それは、人間が群れで生きる生き物であることに原因があります。

今でも戦争は無くなりませんが、もっと人々が盛んに侵略行為や略奪行為を行っていた頃の状況を思い浮かべてみましょう。

国は戦争をする時、たいていの場合大軍を率います。大勢の人が大軍として機能するには、一人一人が思い思いに戦うのではなく、組織として戦わなければなりません。

手強い敵を目前に兵が逃げ出したら勝てる戦いも勝てません。だから多くの国や軍は、逃亡兵 (戦わずに逃げる兵) には死刑を、規律を乱す兵には重罰を、といった風に厳しく取り締まっていました。

戦争はハッキリ言って怖いですし、地獄ほどつらいものです。そんなとこに自分から行こうと思う人はあまりいません。だからどの国でも、「我慢はカッコいい」「逃げるのはカッコ悪い」といった価値観を民衆に植え付けざるを得なかったのではないでしょうか。

学校や会社でも同じです。生徒や社員がやりたくないこと全てに対して「やりたくない」と言っていたら、学校や会社、先生や上司は困ってしまいます。いちいち、一人一人を説得するのは面倒臭いです。

だから、我慢=GOOD! 逃げる=BAD!という考え方を「一般常識」として、(洗脳とまでは言いませんが) ワタシたちの社会に浸透させたのではないでしょうか。

もちろん、何かを我慢しなければ大きなことを成し遂げられないのは事実です。

でも、我慢が絶対に善で、逃げるのが絶対に悪、という単純な考え方をしていては、本当は逃げるべき場面で破滅の道を進んでしまう可能性があります。

今ある状況で何がベストであるかを判断する時は、社会に植え付けられた一般常識を盲目的に信じるのではなく、自分が何から逃げて何を我慢すべきかしっかり考えることが大事なのです。

3. 我慢は美徳ではなく、選択肢

今いる学校や会社が、ワタシたちが生涯身を寄せるべき唯一の場所でないことは当然ですが、国際化が進んだ現代では、ワタシたちの可能性は日本にある学校や会社だけという狭い範囲のものではありません。

どこの国でどのような仕事をしてもいいのです。どこの国でどのような暮らしを送ってもいいのです。

今いる場所でひたすら我慢するということは、今ある状況よりも、世界中に潜むその他の無限の可能性が劣る、と思っているということです。

はたして本当にそうでしょうか?YESと答えるかNOと答えるか、どちらにせよ、自分の考えに責任を持ちましょう。

多我慢してその場に止まるなら、何が何でもそこで幸せになるために全力で努力しましょう。他の可能性を探るのなら、選択肢を広めるために、今の自分にない能力を日頃から追い求めましょう。

英語などの外国語が話せれば、日本国外で働いたり学んだりすることができるようになります。プログラミングができれば、ほとんどどんな業種の会社でも働けるようになります。動画編集ができれば、ユーチューバーになる道だって生まれます。

こんなに選択肢がある中で「その場に留まり我慢する」ことしか考えないのは、何も考えていないのと同じです。

我慢はあくまで、無限にある選択肢のひとつに過ぎません。我慢が美徳だなんて、なんの冗談でしょう?




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